卵は本当に悪玉コレステロールを増やす?
日々の診療の中で、患者様から「コレステロールが気になるので、卵は食べないようにしています」というお話をよく伺います。「卵はコレステロールが高いから、1日1個まで」というのが、これまでの常識でした。特に、健康診断で悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の高さを指摘された方は、卵を避けているかもしれません。
しかし、その「常識」を覆す可能性のある、興味深い研究結果が報告されましたので、皆様にご紹介したいと思います。
卵が悪者ではなかった?注目の最新研究
これまで、卵に多く含まれるコレステロールが、血液中の悪玉コレステロール値を上昇させ、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めると考えられてきました。
ところが、2025年7月に権威ある医学雑誌「The American Journal of Clinical Nutrition」で発表された南オーストラリア大学の研究によると、少し違う結果が見えてきました。
この研究のポイントは、以下の通りです。
1日に2個の卵を食べても、他の食事で「飽和脂肪酸」を控えれば、悪玉コレステロール値は上昇しない。
むしろ、悪玉コレステロール値を上昇させる主な原因は、卵に含まれるコレステロールそのものよりも、一緒に食べることの多い「飽和脂肪酸」である可能性が示されました。
研究では、健康な成人を3つのグループに分け、5週間ずつ異なる食事をしてもらいました。
【卵あり・飽和脂肪酸少なめ群】**: 卵を1日2個食べるが、飽和脂肪酸は少ない食事
【卵なし・飽和脂肪酸多め群】**: 卵は食べないが、飽和脂肪酸は多い食事
【対照群】**: 卵も食べ、飽和脂肪酸も多い一般的な西洋式の食事
結果は驚くべきものでした。①の「卵を2個食べても飽和脂肪酸を控えたグループ」は、③のグループに比べて、悪玉コレステロール(LDL-C)値が有意に低かったのです。
本当に注意すべきは「飽和脂肪酸」
この研究は、「悪玉コレステロールを上げる真犯人は、卵そのものではなく、飽和脂肪酸だ」ということを強く示唆しています。
では、「飽和脂肪酸」とは、どのような食品に多く含まれているのでしょうか。
代表的なものは以下の通りです。
* 肉の脂身
* ベーコン、ソーセージなどの加工肉
* バター、ラード
* 生クリーム
* インスタントラーメンなどの加工食品
朝食のシーンを思い浮かべてみてください。卵と一緒にベーコンやソーセージを食べていませんか?パンにバターをたっぷり塗っていませんか?
もしかすると、これまで卵のせいにされてきたコレステロール値の上昇は、こうした一緒に食べるものが原因だったのかもしれません。
健康的な卵の食べ方とは?
卵は、良質なたんぱく質やビタミン、ミネラルを豊富に含む、非常に栄養価の高い食品です。今回の研究結果を踏まえると、卵を過度に恐れる必要はありません。大切なのは、「何と一緒に食べるか」という、食事全体のバランスです。
組み合わせる食品を選びましょう**:ベーコンやバターの代わりに、野菜サラダやきのこのソテー、海藻の味噌汁などと組み合わせるのがおすすめです。
調理法を工夫しましょう**:油を多く使うベーコンエッグやスクランブルエッグよりも、ゆで卵やポーチドエッグにすると、余分な脂質を抑えられます。
コレステロール値は、食事だけでなく、運動習慣や遺伝など、様々な要因が関係します。今回の研究は、私たちに食事のバランスの重要性を改めて教えてくれました。
コレステロール値が気になる方、ご自身の食生活について不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
