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納豆を週に数パックで死亡リスクが約40%低下? 

[2025.06.30]
今回は、日本人にとってなじみ深い食品「納豆」に関する注目の研究をご紹介します。「納豆は体に良い」と昔から言われていますが、実際にどれほど健康に良いのか、科学的に検証されたデータは意外と少ないのが現状です。
 
そんな中、2025年6月に発表された関西医科大学の藤田裕規先生らの研究によって、納豆の健康効果があらためて注目されています。この研究では、納豆を週に数パック食べる高齢男性は、全く食べない人に比べて死亡リスクが約40%低いことが明らかになりました。

 どんな研究だったの?

研究対象は65歳以上の男性2,174人。そのうち、1,548人が最終的に解析の対象となりました。参加者は12年間にわたり追跡され、期間中に430人が亡くなりました。
 
納豆の摂取頻度は、ベースライン時(研究開始時)と追跡時(5年後)にアンケートで確認され、それをもとに「全く摂取しない」「週に数パック」「1日1パック以上」などのグループに分類。その後、Cox比例ハザードモデルという統計手法を使って、死亡率との関連を分析しました。

納豆を食べている人はどうだった?

以下が、主な結果です。
 
納豆を「週に数パック」食べる人は、全く食べない人に比べて死亡リスクが約40%低い(ハザード比0.603、95%信頼区間:0.441~0.825)。
 
「1日1パック以上」食べる人もリスクは低下していましたが、統計的には有意差は微妙でした(HR 0.786、CI:0.539~1.145)。
 
また、「ベースライン時と追跡時の両方で納豆を週に数パック食べていた人」は、そうでない人より死亡リスクが30%低かった(HR 0.700、CI:0.507~0.966)。
 
つまり、納豆を長期的・継続的に週に数パック食べることが、健康寿命を延ばす可能性があるということです。
 

なぜ納豆が健康に良いのか?

納豆には、以下のような健康成分が豊富に含まれています。
  • ナットウキナーゼ:血栓を溶かす働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防が期待されます。
  • ビタミンK2:骨のカルシウム定着を促進し、骨粗しょう症の予防に効果的。
  • イソフラボン:女性ホルモンに似た作用で、更年期障害や骨の健康に有益。
  • 食物繊維と善玉菌:腸内環境を整え、便通改善や免疫力の向上に寄与します。
これらの成分が複合的に働き、高齢期の病気の予防につながっていると考えられます。

どれくらい食べるのが良い?

今回の研究で特に効果が見られたのは、「週に2~4パック程度」の摂取です。
無理に毎日食べる必要はありません。週に数回、例えば月・水・金の朝食に納豆を加えるだけでも、効果が期待できるかもしれません。
 
ただし、腎臓病や高血圧の方は塩分やカリウムの摂取に注意が必要です。納豆についているタレは減塩タイプにするか、醤油を控えめにする工夫をすると安心です。

 院長からのひとこと

納豆は、身近で手軽に買える「スーパーフード」です。今回の研究でも明らかになったように、週に数回の納豆習慣が、長期的に見て命を守る可能性さえあるというのは、とても心強いですね。
 
もちろん、納豆だけですべてが解決するわけではありませんが、日々の小さな積み重ねが未来の健康をつくります。納豆が苦手な方は、豆腐や味噌、ヨーグルトなどの発酵食品を活用してみましょう。
 
今後も当院では、科学的根拠に基づいた栄養・健康情報をお届けしていきます。何かご相談があれば、いつでもご来院ください。

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