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認知症の将来に、不安を感じている方へ。いま始められる予防の話

[2025.07.11]
こんにちは。文京内科クリニック院長の清水信繁です。
 
「将来、自分が認知症になったらどうしよう」「もし家族がそうなったら…」
 
そんな不安を抱えている方は、当院の患者さまの中にも少なくありません。記憶力の低下やもの忘れが気になり始めたとき、「これってもしかして…」と不安になるのは自然なことです。
 
しかし近年の研究では、認知症はある程度予防が可能な病気であることが明らかになっています。そして、その予防策は決して特別なことではなく、日々の生活の中で実践できるものが中心です。
 
今回は、米国マウントサイナイ医科大学の老年医学科で活躍されている山田悠史先生の新刊『認知症になる人 ならない人』(講談社)の内容をもとに、医師の視点からわかりやすく、そして具体的に認知症予防についてお話しします。

認知症のリスクを高める生活習慣とは?

山田先生が本書の中で紹介しているのは、最新のエビデンスに基づいた認知症リスク因子です。中でも、日常で見落としがちな以下の習慣には注意が必要です:
  • 一日中座りっぱなし
  • 喫煙習慣がある
  • 塩分の摂りすぎ
  • 聴力や視力の低下をそのままにしている
たとえば、「耳が遠くなってきたけれど放置している」というケースでは、会話の機会が減り、社会的孤立を招き、脳の刺激も減ることで認知機能の低下につながります。補聴器の活用も立派な予防の一環と言えるのです。

認知症予防の盲点:「室内の空気環境」

本書の中でも読者の反響が大きかったのが、「換気不足」が認知症リスクにつながるという指摘です。
 
私たちは1日の約75%を屋内で過ごしていると言われています。その屋内空間の空気が悪ければ、健康への影響は避けられません。以下のような物質が問題視されています:
  • ガスコンロ使用時に発生するPM2.5
  • 消臭スプレーや漂白剤などから放出される化学物質
  • 通気性の悪い空間による慢性的な酸素不足や炎症
これらが血管や神経にダメージを与え、結果として認知症リスクを高める可能性があるのです。
 
特別な装置がなくても、1日に数回窓を開けるだけで大きな違いが生まれます。ぜひ、今日からでも取り組んでみてください。

「お酒の量」は意外と超えがちです

飲酒も、認知症リスクと関係しています。
 
山田先生が紹介する研究では、週に168g以上のアルコールを摂取している人は、認知症のリスクが約18%高くなるとのこと。これは、缶ビール(350ml)を1日2本飲むと簡単に超えてしまう量です。
 
「たった2本」と感じるかもしれませんが、毎日の積み重ねが影響します。節酒を意識することで、脳だけでなく肝臓や血圧、糖代謝への良い影響も期待できます。

超加工食品はほどほどに

私たちの身の回りには「便利な食品」があふれています。ソーセージ、ハム、ベーコン、カップ麺、スナック菓子などの超加工食品は、実は認知症リスクを高める可能性があるとされています。
 
これらの食品には、添加物、糖分、脂質、塩分が多く含まれており、慢性炎症や血管障害を引き起こす可能性があるからです。
 
おすすめは、以下のような「地中海食」スタイルの食事:
  • 野菜・果物
  • 魚や全粒穀物
  • オリーブオイルやナッツ類
これらは認知症のみならず、生活習慣病やうつ病の予防にも効果的です。

「効果がある」と思われがちなものに潜む落とし穴

認知症予防と聞くと、つい「脳トレ」「健康サプリ」「高額な検査」に目が行きがちですが、山田先生はそういった手法の多くに科学的根拠が乏しいと警鐘を鳴らしています。
 
たとえば:
  • プロバイオティクス
  • オメガ3脂肪酸
  • イチョウの葉エキス
  • 高額な自由診療の脳検査
現在のところ、これらが明確に認知症予防に有効であるという報告は少なく、まずは生活習慣の見直しから始めることが最も重要だとされています。

「もしなってしまったら」への備えも大切に

本書の後半では、認知症が発症した後の対処についても触れています。
  • 認知症の進行度を見分けるための指標
  • 介護にかかる費用の目安
  • 在宅医療モデル「Hospital at Home(HAH)」の可能性
日本では制度上の課題もありますが、入院によるせん妄や身体機能の低下を防ぐため、できる限り自宅での療養を支える医療体制づくりがこれからの大きな課題になるでしょう。

まとめ:できることから一歩ずつ

認知症は決して避けられない「運命」ではありません。今からでも、以下のような行動で将来のリスクを下げることができます:
  • 毎日の換気
  • 少しの運動
  • 飲酒の見直し
  • 超加工食品を控えた食事
  • 社会とのつながりを保つ
文京内科クリニックでは、認知症予防のための生活指導や認知機能スクリーニングも行っています。ご自身の将来が不安な方、ご家族のことで悩んでいる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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