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うんちで認知症が分かる!?腸内細菌叢は独立した関連因子

[2019.07.29]

 先日松本公民館で認知症の講演会を行わせていただきました。多くの方にお集まりいただき、皆さん熱心に聞いていただけました。高齢化社会の中で皆さんの認知症に関する興味の大きさが伺えましたが、認知症患者は、2015年には全世界で4,680万人だったが、2050年までに3倍になると予測されています。日本でも、2012年に65歳以上の15%に当たる462万人が認知症と診断され、今後も増加傾向は続くとみられています。こうした状況の中、認知症対策は喫緊の課題であり、現在さまざまな研究が展開されています。

 国立長寿医療研究センターもの忘れセンター副センター長の佐治直樹氏らは、もの忘れ外来受診患者の検便サンプルを収集し、腸内細菌叢と認知機能との関連を分析したところ、腸内細菌叢の組成の変化が認知症の独立した関連因子であることを明らかになったと発表しました。これまでに、腸内細菌叢は肥満や心血管疾患、炎症性疾患と関連することが示されており、海外では認知症や脳神経との関連も報告されています。しかし、腸内細菌叢の組成は人種や食生活によって異なり、過去に日本人を対象に腸内細菌叢の組成と認知症発症との関連について検討した研究はありませんでした。そこで佐治氏らは、認知症患者と非認知症患者との間には腸内細菌叢の組成に違いがないか、日本人を対象に認知機能テストや頭部MRI検査で包括的に認知機能を評価し、腸内細菌叢の組成と認知症との関連を検討しました。患者さんの便の腸内細菌叢を解析いたところ、認知症の人にはバクテロイデスという細菌の集団が少ない人が多いという結果でした。

 この結果だけで認知症と便の中の細菌に直接の関連があるとは言えませんが、食事習慣や栄養といった視点から認知症のなりやすさが変わったり、予防の方法が分かったりするかもしれませんね。少なくとも脳梗塞予防のための運動や食事習慣は、脳血管性認知症予防にはつながりますので、適切な食事や適度な運動を心がけることはお勧めします。

 

 

 

 

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