メニュー

お腹が空くとイライラする は本当か

[2022.08.11]
 昔から空腹のときに機嫌が悪くなったり、イライラしたり怒りっぽくなったりするといわれますよね。どうやらこのいわれは本当のことらしいです。英アングリア・ラスキン大学のVirenSwami氏らが実施した研究から、空腹は、怒りやイライラ感といったネガティブな感情と結び付いていることが明らかにされました。
 
 空腹時にイライラ感や怒りなどのネガティブな感情を抱いている状態を、英語ではhungry(空腹)とangry(怒り)を合わせてhangryといわれます。この言葉は英語圏ではごく一般的に使われており、メリアムウェブスター英英辞典にも掲載されているといいます。Swami氏は、「私の妻は時々、私がhangryになっていると言う。そんなとき、私はいつも、hangryなんてものが真の精神状態であるはずはないと思っていた。しかし、今回の研究で、自分が間違っていたことが分かった」といっています。
 
 Swami氏らの研究では、中央ヨーロッパの成人64人にスマートフォンのアプリを用いて1日に5回、空腹と怒り、イライラ感を21日間にわたって評価してもらいました。集めたデータを分析したところ、空腹は強い怒りの感情とイライラ感の増幅、および喜びの感情の低下と関連することが明らかになった。これらの関連は、対象者の性別や年齢、BMI、食習慣、特性怒り(気質としての怒りやすさのこと)を考慮して検討した後でも有意でした。これに対して、空腹と覚醒の間に関連は認められませんでした。また、1日の中での空腹感の変動や、21日間での空腹感の平均値から、怒りやイライラ感といったネガティブな感情を予測できる可能性も示されました。
 
 Swami氏は、「われわれの研究は、研究室の外でhangryの状態について検討した初めてのものだ」と述べています。そして、「得られた結果は、空腹を感じているときには、怒りやイライラを感じやすくなる一方で、喜びの感情は減じる傾向にあることを示唆するものだ」と話のことです。
 
 では、空腹を感じていると怒りやイライラを感じやすくなるのはなぜなのでしょうか?この問いに対してはいくつかの説明が考えられるといいます。
 その一つとして、Swami氏らの研究結果をレビューした、米マウントサイナイ病院のJennifer Cholewka氏は、「低血糖値は脳機能に直接影響を及ぼす可能性がある。血糖値が下がり始めると、脳が正常に機能しなくなって混乱し、イライラしやすくなる」と説明する。
 また、Swami氏は別の説明として、「空腹時には、周囲から得る手掛かりを否定的な目で見て解釈する可能性が高い」ことを挙げており、例えば、今私が空腹だとすると、私は自分の目の前にいる人や、暑さ、その他の環境中のあらゆる刺激を否定的に捉えがちになり、それが怒りの感情の原因になる」と説明しています。
 
 おなかがすいた時に、自分が怒りっぽくなることが分かっていれば、起こりやすい時分だと思いながら周囲と対応したり、怒りっぽい状態で臨まないといけない出来事の前に、少し小腹を満たしていくなど自分自身をより上手にコントロールできるようになるかもしれませんね。もちろん食べ過ぎて体調を悪くしてしまうのは論外ですが・・・
 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME