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ファイザー社ワクチン、イギリス・南アフリカ型変異株に対する有効率は?

[2021.06.08]

 先日ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンの免疫効果がみられるまでの期間についてお知らせしました。2回の接種にてかなりの感染率低下が期待されていますが、現在市中にて急速に増加しているイギリス型や南アフリカ型と呼ばれる変異種に関しての効果は未知数です。今回この変異型についての効能についての報告がありましたためご紹介します。

  カタール・Weill Cornell MedicineのLaith J. Abu-Raddad氏らが、変異株への感染および重症化に対する同ワクチンの有効性を検証したコホート研究結果を報告しました。
 カタールでは、2月23日~3月18日にゲノム解析された症例の50.0%がB.1.351(南アフリカ型)、44.5%がB.1.1.7(イギリス型)により引き起こされていました。また3月7日以降はゲノム解析されたほぼすべての症例が、 南アフリカ型  またはイギリス型のいずれかへの感染であした。ファイザー社製ワクチンの接種は2020年12月21日に開始され、2021年3月31日時点で計38万5,853人が少なくとも1回のワクチン接種を受け、26万5,410人が2回の接種を完了していました(カタールの総人口は約280万人)。
 イギリス型への感染に対するワクチンの推定有効率は、2回目接種後14日以上で89.5%(95%信頼区間[CI]:85.9~92.3)でした(ワクチン2回接種群:PCR陽性50例 vs. PCR陰性465例、ワクチン非接種群:16,354例 vs.15,939例)。
  南アフリカ型 への感染に対するワクチンの推定有効率は、2回目接種後14日以上で75.0%(95%CI:70.5~78.9)でした(ワクチン2回接種群:179例 vs. 698例、ワクチン非接種群:19,396例 vs.18,877例)。
 イギリス型および 南アフリカ型 への感染が優勢である中、SARS-CoV-2感染による重症、重篤、および致命的な病態に対する2回目接種後14日以上における有効率は非常に高97.4%(95%CI:92.2~99.5)でした(ワクチン2回接種群:3例vs.109例、ワクチン非接種群:1,692例 vs.1,586例)。

 著者らは、イギリス型および 南アフリカ型が国内で優勢の状況の中で、ファイザー社製のワクチンは感染および重症化に対して有効であったとまとめています。ただし、南アフリカ型への感染に対する有効率は同ワクチンの臨床試験やイスラエル・アメリカからの実社会での報告(>90%)よりも約20%低い結果でした。

 新型コロナウイルスはインド型なや二重変異型などさらに変異を繰り返しており予断は許しませんが、従来型に近い予防効果がみられています。日本国内での集団免疫獲得を達成すれば、かなりの日常生活制限が緩和されるのではないでしょうか?副反応もまだまだ未知数ではありますが、現在のところファイザー社製、モデルナ社製ワクチンでは重篤な副反応はわずかのようです。現在までの情報から、当院ではもうすぐ始まる若年者を含め、コロナワクチンを積極的に接種をお勧めしております。

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