メニュー

メトホルミン投与と認知機能低下

[2021.02.19]

 コロナ禍のため、運動不足と過食のため、体重が増えてしまっている方が増えております。不健全な生活習慣の結果、糖尿病の危険が増えやすいのですが、この糖尿病の治療薬として、死亡率を下げることが証明されており、世界中で頻用される薬剤にメトホルミンという薬剤があります。今回、この糖尿病治療薬メトホルミン服用の糖尿病患者は、メトホルミン非服用患者よりも認知機能の低下が遅く、認知症の発症リスクが低いことが発表されました。

 以前から2型糖尿病は、認知機能障害および認知症のリスク上昇と関連することが示されている一方、最近の疫学研究では、メトホルミンは認知機能障害および認知症の発生率低下と関連することが報告されています。今回の研究結果では、今までのこうした研究結果を裏付けるものとなりました。

 本研究の結果は、メトホルミンの神経保護効果の可能性を支持する先行研究の結果と一致するものである、と著者らは考察で述べていますが、本研究の限界として、研究途中に解析できなくなった脱落者の元々の認知機能は、非脱落者よりも低く、脱落者には認知症のリスク因子である心疾患および脳卒中患者が多かったことから、生存者バイアス(最後まで研究として追跡できた人が元気だったということ)が含まれている可能性があります。

 高齢の2型糖尿病患者におけるメトホルミン投与は、認知機能低下および認知症発症の抑制と関連するといえそうです。ただし、メトホルミンに認知症または認知機能低下に対する保護作用があるかを検討するためには、糖尿病患者と非糖尿病の高齢者の両者でメトホルミンを内服してもらった研究が必要だと思います。いずれにせよ糖尿病は認知症になりやすく、普段から食事、運動に気を付けるのが第一ですね。雪も解けてきましたし、私も生活習慣を見直してみたいと思います。

 

 

 

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME