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熱傷には流水で20分以上冷却が必要かもしれません

[2020.02.21]

 熱傷の応急手当として、まず流水による冷却が推奨されています。しかしその際冷却の推奨の時間は様々でした。アメリカの学会では5分、イギリスの学会では10分などです。今回オーストラリアGriffin氏らは、三次医療機関で治療を受けた熱傷患児を対象とした研究を実施したところ、流水で20分間以上冷却する応急手当を受けていた患児では、それ以外の方法で応急手当を受けていた患児や、手当を受けなかった患児と比べて、植皮( 豚や自身の皮膚を移し替える手術 )が必要となるリスクや入院リスクなどの低下が認められたと報告しました。

 Griffin氏らは今回、三次医療機関で治療を受けた熱傷患児2,495例(年齢中央値2歳)を対象に、応急手当と植皮の必要性との関連を評価しました。その際の「適切な応急手当」は「受傷後3時間以内に流水による冷却を20分間以上にわたって実施すること」としています。2,495例中2,259例(90.6%)が流水による応急手当を受けていましたが、実際に20分間以上の流水による手当を受けていたのは1,780例(71.3%)だけでした。また、植皮を必要とした患児は236例(9.5%)でした。

 その結果、適切な応急手当を受けた患児では、ほかの方法で応急手当を受けた患児や手当を受けなかった患児と比べて植皮が必要となるリスクが40%低く、火傷の深さが皮膚全層に及ぶ熱傷のリスクも60%低い結果となりました。さらに、入院リスクの低下や手術室での介入が必要となるリスクの低下も認められました。これらの結果を踏まえ、同氏らは「適切な応急手当により、熱傷の重症度および臨床的予後の改善が認められた」と結論づけています。
 子供が火傷をしたときは本人だけでなく周囲の大人もびっくり慌ててしまいますが、自身で受診する際も救急車を要請する際も、移動直前までしっかり水道水で冷却してあげる必要があります。いざというときのために、周囲の大人で一度話し合って確認しておきましょう!もちろん、火傷しそうなものを避けたり、子供を近づけないようにするのが大前提です。

 

 

 

 

 

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