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痛風治療薬によるコロナ治療に2つの効果

[2021.03.22]

 皆様のなかで痛風になったことがある方はおられますでしょうか? 足の親指の付け根が有名ですが、関節に赤く腫れあがり、「風が吹いても痛い」ほど痛みを伴う病気です。 お肉やビールの中に含まれるプリン体等を摂取すると尿酸という老廃物が増えて発症することが多いですが、尿酸は自然に生きていれば体内で産生されるものですので、誰にでも起こりえる病気です。この痛風の際に使用されるお薬でコルヒチンというお薬があります。昔からあるお薬なのですが、近年様々な効果が期待できると注目を集めていましたが、今回このコルヒチンが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に効果があるという報告がありました。

 今回ブラジル・University of Sao PauloのMaria Isabel Lopes氏らは、中等症~重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者75例を対象に、標準治療に上乗せした痛風治療薬(コルヒチン)の効果を検証する試験を実施、その結果、コルヒチンはプラセボに比べ酸素投与および入院の必要性の2点を有意に抑制したと発表がありました。

 発表によると、酸素投与が必要な期間が、プラセボ(偽薬)群の6.5日に比べコルヒチン群では4.0日と有意に短かく済んでいました。治療7日目に酸素投与が必要だった患者の割合も、それぞれ42%、9%とコルヒチン群で有意に少なかったそうです。
 同様に、入院期間の中央値はプラセボ群の9.0日に比べコルヒチン群では7.0日と有意に短かく、治療10日目に入院していた患者の割合も、それぞれ39%、9%とコルヒチン群で少ない結果でした。

 酸素が必要な状態といいますと、一般に中等症以上の新型コロナウイルス感染症患者ということになりますが、一般的な標準治療へのコルヒチン上乗せは安全性と忍容性が高く、酸素投与が必要な期間および入院期間をプラセボに比べ有意に短縮できたといえると思います。入院期間の短縮は費用削減と病床確保につながり、新型コロナウイルス感染症パンデミック下の日常診療において重要な意味を持ちえます。医療病床がひっ迫する可能性が何度もとりだたされた地域もある日本でも有効かもしれません。

 

 

 

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