ファイザー社とアストラゼネカ社のコロナワクチン、英国約63万人の副反応データ
[2021.06.15]
現在日本ではファイザー社、モデルナ社そしてアストラゼネカ社の 3社の コロナワクチンはが認可されています。このうちファイザー社とモ デルナ社はすでに接種され始めていますが、 アストラゼネカ社製は血栓症の報告があり精査中のため、また国内 摂取は行われておりません。イギリスではファイザー社製とアスト ラゼネカ社製のワクチンを多く接種しており、 その副反応について報告がありましたので、ご紹介します。
イギリスで3月までに新型コロナワクチンを接種した62万7,3 83例を対象に、副反応について調査したデータが集計、報告され ました。この前向き観察研究では、専門アプリを使って「BNT1 62b2」(ファイザー・BioNTech社製、以下ファイザー 製)の1回または2回接種者、「ChAdOx1 nCoV-19」(アストラゼネカ製)の1回接種者を対象に、接 種後8日以内に自己申告された全身および局所の副反応の確率と比 率を調べられました。またあわせて、PCR検査等で接種群と未接 種群の感染率を比較しました。
2020年12月8日~2021年3月10日に、62万7,38 3例が65万5,590回の接種を受けたと報告されました。28 万2,103例がファイザー製の1回接種、そのうち2万8,20 7例が2回接種を受け、34万5,280例がアストラゼネカ社製 の1回接種を受けました。
全身性の副反応は、ファイザー製1回目接種後に13.5%(3万 8,155/28万2,103)、2回目接種後に22.0%( 6,216/2万8,207)、アストラゼネカ製接種後に33. 7%(11万6,473/34万5,280)で報告されました。 局所的な副反応は、ファイザー製1回目接種後に71.9%( 15万23/20万8,767)、2回目接種後に68.5%( 9,025/1万3,179)、 アストラゼネカ 製接種後に58.7%(10万4,282/17万7,655)で 報告されました。
全身性、極小性の副反応とも、既感染者で未感染者よりも多い結果 でした(全身性;アストラゼネカ 製接種後1.6倍、ファイザー製1回接種後2.9倍)、(局所性 ;アストラゼネカ 製接種後1.4倍、ファイザー製1回接種後1.2倍)。
PCR等検査を受けたワクチン接種群10万3,622例中3,1 06例(3%)、未接種の対照群46万4,356例中5万340 例(11%)が陽性でした。感染リスクの有意な低下は、 1回目接種後12日目からみられ、21~44日目には アストラゼネカ 製60%(95%CI:49~68)、ファイザー製69%(66 ~72)、45~59日目にはファイザー製72%(63~79) でした。
研究者らは、2つのワクチンの接種後の副反応は第III相試験で 報告されたものよりも頻度が低かったこと、またどちらも12日後 に感染リスクが低下したことが確認できたとしています。しかし今 回の報告では従来報告の予防効果より低めであること、血栓症の評 価がはっきりしないなど、特にアストラゼネカ社製の安全性に関し ての不安は払しょくできませんでした。安全性が確保できれば日本 のワクチン接種にさらなる弾みがつくのではと思います。 さらなる情報集積と報告に期待したいです。