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新型コロナワクチン接種間隔が長いほど効果大?

[2021.03.01]

 いよいよコロナワクチンの国内接種も開始となりました。現在のところファイザー製のみは国内で流通していますが、超低温冷蔵が必要であったり、輸送で衝撃を与えてはいけないことであったり、初めてもmRNAワクチンのため副作用の件で懸念が残ったりと不安材料も多いですが、先に接種の進んでいるイスラエルや英国、米国では高い予防効果が報告されています。このファイザー製コロナワクチンは3週間間隔で2回の摂取が必要で、3週間を過ぎたらできるだけ早期に2回目摂取が求められています。しかしこの接種間隔について今後変わってくる可能性を示唆する報告がありました。

 英・University of OxfordのMerryn Voysey氏らは、同大学とアストラゼネカ社が共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)の有効性と安全性を検討し、結果発表しました。同ワクチンは1回目の接種から90日後においても新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)特異的IgG抗体価が維持され、1回目と2回目の接種間隔が長いほど有効性が高いという結果でした。

ワクチン接種群の入院例はゼロ、有効率66.7%

 解析の結果、主要評価項目の発生はAZD1222群84例(1.0%)と対照群248例(2.9%)の計332例で、ワクチンの有効率は全体で66.7%(95%CI 57.4~74.0%)でした。なお主要評価項目は、2回目の接種後14日目以降の症候性COVID-19発症〔核酸増幅試験でSARS-CoV-2陽性かつCOVID-19に特徴的な症状(37.8℃以上の発熱、咳、呼吸困難、嗅覚障害、味覚障害)を1つ以上発現〕です。また1回目の接種から22日目以降にCOVID-19で入院した患者は、対照群の15例に対しAZD1222群では皆無でした。
 一方重篤な有害事象の発現率は、AZD1222群で0.9%、対照群で1.1%でした。ワクチン接種とは関連性がないと考えられる死亡が7例(AZD1222群2例 vs. 対照群5例)発生し、うち対照群の1例はCOVID-19関連死ということです。

接種間隔12週間以上で有効率81.3%に向上

 さらに、探索的解析として1回接種の有効性および2回接種における接種間隔の影響を検討した結果、1回接種後の有効性は3カ月後も低下しないことが示されました。標準用量1回接種後22~90日目の有効率は76.0%で、1回接種後90日目の新型コロナウイルスの抵抗力の目明日となるSARS-CoV-2特異的IgG抗体価は、28日目の最高値と比べて34%低下にとどまる結果となりました。
 また、標準用量2回接種後の有効率は、接種間隔が6週間未満と短い場合(有効率55.1%、)に比べ、12週間以上と長い場合(同81.3%)で高く、この結果は18~55歳の成人患者の免疫原性データでも裏付けられ、接種間隔が12週間以上の場合のSARS-CoV-2特異的IgG抗体価は6週間未満の場合の2倍超となりました。

 以上を踏まえるとAZD1222ワクチンの有効性と安全性が確認されたといえると思います。またこの結果からこのワクチンは1回目と2回目の接種間隔が長いほど有効性が高く、1回接種の有効性は90日間は持続したということになります。ということはワクチンの供給量が不十分な状況では、できる限り早く最大限の人数に1回接種を行って、3カ月後に2回目の接種を行うプログラムの方が、短期間でその半数に2回接種を行うプログラムより有利な可能性があるかもしれません。ワクチンや治療薬の発展、皆さんの節度ある予防行動にて早く新型コロナウイルスを克服できると良いですね!

 

 

 

 

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